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ストレスホルモン(コルチゾール)の過剰分泌によって太ってしまうクッシング症候群とは?

 2017/12/20 健康
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ストレスホルモン(コルチゾール)の過剰分泌によって太ってしまうクッシング症候群とは?

ストレスホルモン(コルチゾール)の過剰分泌がもたらす影響

夏を控えてダイエットに突入する人は少なくないのではないでしょうか。

ご飯を食べて、デザートまでしっかり食べたはずなのに、3時間も経たないうちに空腹感が押し寄せてくることは誰もが経験しているでしょう。

食べ物の誘惑に負けて、ついついお菓子をつまんだ後は、お腹がいっぱいになったという幸福感よりも、また食べてしまったという後悔の念に駆られてしまいます。

まさに「偽」の空腹にだまされた時と言ってもいいでしょう。

 

私たちの脳の視床下部は、体に必要なエネルギー(カロリー)が不足すると、「空腹」という信号を送って食物の摂取を誘導しています。

問題は、カロリーが不足していない時も、脳が空腹の信号を送信することがあるということです。

しかし、「偽」の空腹と本当の空腹は原因と症状が異なるだけにその違いだけでよく知っておけば、むしろ「偽」空腹を利用して、より効果的に減量に成功させることができます。

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ストレスを受けるとお腹は空く


「偽」の空腹の最大なトリックは、「糖」です。

 

血中の糖分が低下すると私たちの体は、空腹という信号を送っているのですが、血糖値が低下したことは必ずしも体のエネルギーが不足しているとは限らないです。

むしろこの「偽」の空腹の瞬間だけ我慢することができれば、たまっている脂肪を効果的に燃やすことができるのです。

体内の血糖値が低下すると私たちの体は、肝臓または筋肉に蓄積されたグリコーゲンを分解してエネルギー源として使い、次に脂肪を分解してエネルギーを産生しています。

つまり、グリコーゲンが完全に分解され、脂肪が初めて分解される段階に入るまでは約1時間がかかります。

しかし、これを無視してすぐ食べ物を食べてしまうと、血糖値はぐっと上がり、脂肪はそのまま溜まったままでむしろ太ってしまいます。

 


ストレスも偽の空腹を誘発することがあります。

 

ストレスを受けたり、憂鬱になったりすると、体内のセロトニンの量が減ります。

セロトニンは、脳の視床下部にある神経伝達物質の1つです。

交感神経系に作用して血圧と呼吸数を増やして私たちの体に活力を与え、記憶力と学習能力をはじめ、消化や腸運動にもプラスの影響を与えてくれています。

しかし体内のセロトニン量が低下すると、私たちの体はフィードバック作用によりセロトニンの分泌量を増やそうとします。

この時、私たちの身体にはたらかせている方法が「空腹」なのです。

 

特に甘い食べ物を私たちは真っ先に探すことが多いですが、これはインスリンの分泌を促進させるためなのです。

セロトニンは、トリプトファンというアミノ酸を介して脳の中で作られるのですが、トリプトファンが脳に到達するには、インスリンの助けが必要なのです。

したがって、血糖値を下げる働きをするホルモンでインスリンの分泌を誘導させるために、血糖値を高める甘い食べ物を欲しがるように脳からの信号を送っているのです。

 

また、ストレスを受けるとコルチゾールというホルモンが過剰に分泌されますが、コルチゾールは、食欲を抑制するホルモンであるレプチンの分泌量を減少させ、食欲をそそらせてくれます。

過食症の患者の中には、慢性ストレスを訴える人が多いです。

これは、過剰に分泌されたコルチゾールが食欲を旺盛にしてしまうことで空腹を誘発しているからなのです。

 

また、ダイエットの状況そのものが「偽」の空腹を作らせていることがあります。

私たちの体はエネルギーが不足していなくても、いつも摂取するカロリーよりも少ない量を食べると、これを補うために脳に「空腹」の信号を送っています。

しかし、エネルギーの不足を意味しているわけではないので、この瞬間を乗り越え続けると、いつの間にか私たちの体も変化に適応し、空腹の信号を送らなくなります。

 

ボリュームたっぷりのおつまみを食べても、飲み過ぎの後にはお腹が減ったと感じることがありますが、これも「偽」の空腹感です

お酒は胃と腸で吸収され、肝臓での解毒作用を経ます。

肝臓は解毒作用に加えて、グリコーゲンをブドウ糖に変化させて、体に必要なエネルギーを作る役割を担っています。

しかし、飲みすぎると肝臓は解毒作用に精一杯になり、グルコースを作ることがきちんとできなくなってしまします。

すると、自然に血糖値は下がり、脳は空腹信号を送りますが、これも一時的な現象に過ぎないです。

このときの空腹を我慢できずに過食してしまえば、肥満を誘発する習慣を身につけてしまいます。

飲酒後、空腹を感じたときは、夜食よりもハチミツやチョコレートなどで糖分を補充するのが良いでしょう。

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食後3時間、特定のメニューが食べたいと思ったら、それは「偽」の空腹

「偽」と「本物」の空腹を区別するための最も簡単な方法は、空腹と感じたときに私の体の変化を注意深く観察することです。

本当の空腹は空腹感が徐々に増していき、お腹がほんの少しちくちくしたり、お腹がぐうぐう鳴ったりします。

また、軽くめまい感じたり、軽い頭痛があったり、力が抜けるなどの症状が現れることもあります。

特定の食べ物よりも何かを食べたいという気持ちが強く、食べた後は満足と幸福感に満たされます。

 

一方、「偽」の空腹は悲しいか、いやなことがあった時に感じる場合が多く、チョコレートのように甘いものやトウガラシが入った辛いものなどの特定の食べものへの欲求が強くなります。

また、お腹がパンパンになっても食べ続けようとしていて、食べた後は幸福感よりも空虚感と自責感が押し寄せてくる場合が多いです。

 


症状からは区別が難しいときは、水を一杯飲むことでわかることができます。

 

食事をして3時間も経たないうちにお腹がすいたら、水を一杯(約200mL)飲んでみよう

水を飲んで20分後に、まだ空腹感があるのであれば、これは「本物」の空腹です。

 

「偽」の空腹は強度の高い運動と高蛋白(高タンパク)の食事が役立つ

「偽」空腹をしのぐ方法は、何よりも本人の意志が最も重要ですが、生活習慣の変化によって若干助けを得ることができます。

まず、「偽」の空腹を感じたとき、短い時間内で強度の高い運動をすることです。

ストレスホルモンであるコルチゾールに唯一対抗することができるのはエンドルフィンです。


エンドルフィンは、脳下垂体から分泌されるホルモンで、私たちが強烈な痛みを感じたときに、鎮痛剤の役割を担っています。

有酸素運動である、ランニング、サッカーやバスケットボールのように体全体を動かす運動をするときに、多く分泌されます。

「健康的に痩せる運動」を知りたい方はこちらへ

 

タンパク質の摂取量も重要です。

米国ジョンズホプキンス大学公衆衛生大学院の研究チームの論文によると、総カロリーは同じ条件で、それぞれのタンパク質と炭水化物、不飽和脂肪酸を強化した食事を、各実験群に6週間摂取させました。

その結果、タンパク質を強化した食事を食べた実験群は、他の二つの食事を強化した実験群に比べて食欲抑制効果が顕著に現れたのです。

 

体重調節はスリムな体型を見せるためにも必要ですが、何よりも健康な生活を維持するためにも大切です。

肥満は慢性疾患の危険因子とされているだけに、今回の機会を通じて「偽」の空腹に対して少しは断固に対処してみてはどうでしょうか。

効果的な減量はもちろん、より健康な生活を過ごすのにきっと役立つと思います。

 

たんぱく質を多く摂取できる食べ物はこちら

 

おじさんのビール腹は単に怠けていたせいではない

気分だけでなく、体つきもホルモンの影響を受けています。

40代になると男性はお腹が出始めてきます。

食べる量が特に増えたわけでもなく、運動を毎日しているにも関わらず、ビール腹は一向に減らず、年々立派になっていくことに気づくでしょう。

この原因は、男性ホルモンであるテストステロンにあります。

男性は、通常35歳から毎年1%ずつテストステロンが減少し、60歳になれば、30代の半分までに減ってしまいます。

 

テストステロンが減少すれば、基礎代謝量が落ちて脂肪を分解する酵素の活性も低下してしまいます。

基礎代謝量は、人が生命を維持するために使う最小のエネルギーです。

思春期には、いくらたくさん食べても太らないことがありますが、これは基礎代謝量がピークに達しているからです。

なので、基礎代謝量が低下した4050代の男性は、少し脂っこいもの食べても簡単に太ってしまうのです。

「ビール腹」の画像検索結果

また、そうして得られたビール腹はテストステロンを減少させ、テストステロンが減少すれば、腹がますます出てしまう悪循環が始まるのです。

ビール腹がテストステロンを減少させるしくみには諸説があって、肥満やメタボリックシンドローム(基礎代謝能力が低下)のように、脂肪が過剰に蓄積されると脂肪細胞が肥大化してしまいます

脂肪細胞が肥大化してしまうと、肥満を抑えようとレプチンというペプチドホルモンの分泌が増加するのですが、このレプチンが精巣におけるテストステロンの合成を低下させていることが考えられています。

それ以外にも肥満やメタボの人は性ホルモンの内分泌に障害があると言われています。

つまり、40代から出てくるビール腹は、単に運動不足というより、歳のせいであると言っても一理があるのです。

 


コルチゾール(cortisol)は腎臓の副腎皮質から分泌されるストレスホルモンです。

 

コルチゾールは、外部の様々なストレスなどの刺激に対し、身体が最大のエネルギーを作り出す過程で分泌され、血圧と血糖値を高めるような役割を果たしています。

ストレスに対し、コルチゾールが体から分泌される過程は次の通りです。

 

コルチゾールの分泌

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一般的に、人はストレスが多い状態や緊迫な状況に陥ると、身体はそのような状況に対抗するため、体内でエネルギーを産生しなければならないです。

すると、体の神経系の交感神経系が活動を活発化し、副腎(adrenal gland)からエピネフリン(epinephrine)、ノルエピネフリン(norepinephrine)、そしてステロイド系のホルモンが分泌されます。

コルチゾールは副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンで、グルコースの代謝に影響を与えるため、グルルココチコイドとも呼ばれています。

視床下部の室傍核(paraventricular nucleus; PVN)が実質的にコルチゾールの分泌を調節しています。

視床下部の室傍核はCRHcorticotropin-releasing hormone)を分泌し、これが下垂体(pituitary gland)を刺激することでACTHadrenocorticotrophic hormone)を分泌させています。

このホルモンは、血液に乗って副腎皮質に移動し、コルチゾールの血液中の分泌を増加させています。

 

コルチゾールの役割

分泌されたコルチゾールは、ストレスなどの外部刺激に対し、身体が対抗できるように、身体の各器官により多くの血液を送らせ、その結果、脈拍と呼吸を増加させます。

また、身体全体の筋肉を緊張させる働きもあり、例えばライオンなどの非常に怖いものに出会った時、一瞬硬直し動けなくなるのもコルチゾールが大量に分泌されるためなのです。

その他に、正確で迅速な状況判断ができるように頭を覚醒させ、感覚を鋭敏にしてくれます。

これは、コルチゾールが私たちの体のエネルギー源であるブドウ糖を脳にすぐ送らせているためです。

しかし、問題はストレスを過度に受けることで、慢性的なストレスになってしまうと、身体に様々な悪影響を与えてしまいます。

コルチゾールの血中濃度が高くなると食欲が亢進し、過食による脂肪の蓄積をもたらしてしまいます。

また、高血圧の危険性が増加し、血圧が高くなることで周辺の筋組織や血管を損傷させ、血管がもろくなったり筋肉が萎縮したりすることがあります。

さらに、不安と焦りの状態が続くと、体重の増加とともに慢性疲労、慢性頭痛、不眠などの様々な症状が発症することがあります。

また、免疫機能が弱体化し、風邪などのウイルス性疾患に簡単に感染する恐れがあります。

 

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クッシング症候群の概要

副腎から必要以上に大量のコルチゾールが過剰分泌された状態をクッシング症候群(Cushing’s syndrome)といいます。

また、コルチゾールの分泌調節は、下垂体前葉から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)によって行われており、ACTHの過剰分泌によってコルチゾールが過剰分泌された状態を下垂体依存性クッシング病(Cushing’s diseaseといいます。

まず、クッシング症候群について説明したいと思います。

 

下垂体の形と下垂体前葉の位置と視床下部の位置

下垂体の形と下垂体前葉の位置と視床下部の位置

 出典:看護ルー副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌される仕組み


クッシング症候群は、副腎皮質ホルモンのコルチゾールの過剰が原因で発生する臨床症候群です。

 

クッシング症候群は、男性よりも女性の方が8倍程度多く発症し、通常30〜40代に診断される場合が多いです。

 

クッシング症候群の理解を助けるために、まず副腎と副腎皮質ホルモンであるコルチゾールについておさらいしてみましょう。

副腎(adrenal gland、副腎)は、両側の腎臓の上にそれぞれ位置し、副腎ホルモンを生産する内分泌器官で生命維持に重要なホルモンを分泌する機能を担当しています。

副腎は左右にそれぞれ長さ45cm、高さ23cm、重さ78gの小さな機関であり、右側は三角形、左側は半月形の形をしています。

副腎の外側を皮質、内側を髄質といい、それぞれが発生学的に異なる起源をからなり、それぞれ異なるホルモンを分泌しています。

 

副腎の外側をなす皮質では、様々なステロイドホルモンを分泌します。

副腎皮質の代表的なホルモンとしては、コルチゾール、アルドステロン、および副腎アンドロゲンなどが挙げられます。

一方、副腎髄質には、神経節細胞が分布しており、カテコールアミンに属するエピネフリンとノルエピネフリンを生成します。

 

コルチゾールは、代表的な糖質コルチコイドで体のさまざまな組織で、主に細胞の合成と成長に影響を与え、それぞれの作用部位に応じて、それぞれ異なる作用を示します

アルドステロンは、代表的な鉱質コルチコイドで、主に身体の水分と電解質代謝に関与し、血圧の調節を行っています。

クッシング症候群を正確に理解するためには、副腎のコルチゾールに加えて、副腎皮質ホルモンの調節機序も知っておく必要があります。

 

副腎皮質ホルモンの調節機序

副腎皮質ホルモンの分泌の調節は、脳の下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(adrenlocorticotropic hormoneACTH)によって調節されます。

また、副腎皮質刺激ホルモンは、脳の視床下部(hypothalamus)から分泌される副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(corticotrophin releasing hormoneCRH)によって調節されます。

つまり、視床下部下垂体副腎皮質につながるシグナル伝達によって副腎皮質ホルモンは分泌が調節されています。

視床下部と下垂体からそれぞれ分泌される副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンと副腎皮質刺激ホルモンの分泌は拍動性があり、午前中に最も高く、午後に減少する日中変動がみられます。

上記2つのホルモンは痛み、外傷、低血糖などの物理的、化学的なストレスに加えて、精神的なストレスによって分泌が調節されます。

また、コルチゾールによっても、上記2つのホルモンの分泌が調節されます。

 

つまり、コルチゾールの分泌が多くなると、視床下部と下垂体からコルチゾール濃度を検出して、副腎皮質刺激ホルモンと副腎皮質刺激ホルモンの分泌が抑制されるフィードバック機構を持っています。

上記のようなフィードバック機構によって、通常の状態では、一定のコルチゾール濃度を維持できるようにしています。

しかし、クッシング症候群では、コルチゾールが正常な濃度よりも高くなり、コルチゾールの作用が過剰に現れているので、様々な症状が発症してしまいます。

「副腎」の画像検索結果

出典:がん治療!代替療法・最先端治療・免疫力向上ブログ

 

クッシング症候群の原因

クッシング症候群の最も多い原因は、外部からの長期的コルチゾールを投与して発生される外因性クッシング症候群(exogenous Cushing’s syndrome)です。

外因性クッシング症候群とは対照的に、身体の病気によって引き起こされる場合は内因性クッシング症候群(endogenous Cushing’s syndromeと呼ばれています。

 

内因性クッシング症候群の原因としては、下垂体に発生する良性腫瘍である下垂体腺腫によるクッシング病(Cushing’s disease)が最も多く、(6070%)、下垂体以外の組織で副腎皮質刺激ホルモンが過剰分泌される疾患である異所性副腎皮質刺激ホルモン症候群(ectopic ACTH syndrome)、副腎の異常で発生する副腎腺腫、副腎がん、結節性過形成などがあります。

 

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内因性クッシング症候群

クッシング病

内因性クッシング症候群の最も多い原因の一つで、主に女性の20〜40歳に多く現れます。

クッシング病は下垂体の副腎皮質刺激ホルモンが過剰に分泌されるため、両側の副腎は全体的にサイズが増加する副腎皮質の過形成がみられます。

 

副腎皮質刺激ホルモン症候群

クッシング症候群の症状が顕著に現れない場合が少なくなく、診断が困難な場合があります。

主に肺の小細胞がん、胸腺上皮癌、膵臓神経内分泌腫瘍、カルチノイド、甲状腺髄質癌、クロム親和性細胞腫など良性もしくは悪性腫瘍で、副腎皮質刺激ホルモンを過剰に分泌する場合に発症します。

 

副腎腫瘍と結節過形成

副腎腫瘍は、女性に多くみられ、副腎腺腫と副腎がんに区別されます。

副腎腺腫は通常、直径が16cmの良性腫瘍でクッシング症候群の原因の1015%を占めています。

副腎癌は非常にまれな疾患であり、直径が10cmを超える場合もあります。

副腎癌は副腎腺腫とは異なり、血管が豊富で、腫瘍内の壊死、出血などの所見が見られ、肝臓や肺に転移を引き起こす可能性があります。

 

副腎皮質の結節性過形成は、副腎皮質過形成の約20%で観察されます。

まだ正確な原因は明らかになっておらず、ほとんどの下垂体の副腎皮質刺激ホルモンの過剰分泌によるものと考えられています。

 

副腎皮質過形成と副腎腺腫の中間段階に該当する検査所見が見られます。

 

クッシング症候群の症状

クッシング症候群は、中心性肥満、高血圧、疲労感や虚脱感、無月経、男性化などの症状が現れることがあります。

中心性肥満症は、主に顔、首、胸や腹などの脂肪の蓄積が見られます。

満月様顔貌(ムーンフェイス)と顔面や皮膚の多血症はこの疾患の典型的な特徴であり、首の部位の脂肪の蓄積が水牛の首の形に似ていることからバッファローハンプ(水牛様脂肪沈着)という特異的な所見もみられます

 

中心部の脂肪の蓄積とは対照的に、腕と脚は太らず、時々激しい筋肉の萎縮が見られたりします。

皮膚が薄くなってしまうことで、簡単に傷やあざが生じやすく、傷が生じた場合にすぐ治らないのもクッシング症候群の特徴です。

また、腹部、太ももなどでは紫色の斑点が観察されることがあります

皮膚や粘膜の真菌(カビ)の感染には体部白癬(たむし)、手や足の爪の水虫である爪甲真菌症があり、よく発症します。

 クッシング症候群の症状

クッシング症候群では、コルチゾールの過剰に加えて、副腎アンドロゲンの過剰に伴い、女性の多毛症、にきび、卵巣機能の障害などが生じることがあります。

また、80%以上の患者で、高血圧や糖尿病を患っているケースがよくあります。

長期間のコルチゾール過多は、骨粗しょう症を誘発して病的な骨折が発症する可能性もあります。

 

精神的な障害では、睡眠障害や感情的な変化がひどく過敏症から重度のうつ病、混乱、精神病まで多岐にわたって現れることがあります。

 うつ病についてはこちら

 

クッシング症候群の診断

クッシング症候群の診断は、コルチゾールの産生能力を測定し、コルチゾールの血中濃度が増加しているか、あるいはデキサメタゾン(dexamethasone)という長時間作用するステロイドを使用して、通常のコルチゾールの分泌が正常に抑制されているかどうかを確認します。

もしクッシング症候群と診断されると、次は原因疾患が何なのかを見つけるため精密検査が必要です。

 

デキサメタゾン抑制検査の概念

初期スクリーニング検査として、一晩デキサメタゾン抑制検査overnight dexamethasone suppression test)と24時間尿コルチゾール検査があります。

一晩デキサメタゾン抑制検査はステロイドであるデキサメタゾン1mgを夜中に投与して、次の日の朝、血中コルチゾールが2μg/dL未満に抑えられているかどうかをチェックします。

基準値まで抑制されていない場合は、クッシング症候群を疑うことができます。

 

また、クッシング症候群では、コルチゾールの日中変動が消え、持続的に大量のコルチゾールを分泌されているので、夜中にコルチゾールを測定して正常値まで減少されない場合でも、クッシング症候群と疑うことができます。

確定診断として、低用量デキサメタゾン抑制検査を実施してクッシング症候群であるかどうか確実に診断することができます。

この検査方法は、デキサメタゾン0.5mg6時間間隔で二日間投与し、血中のコルチゾールが2μg/dL未満に抑えられなかった場合、クッシング症候群と診断されます。

 

クッシング症候群と診断された場合、原因を突き止めるのが次のステップです。

そのためには血中のコルチゾール以外の副腎皮質刺激ホルモンを測定する必要があり、これはクッシング症候群の原因を鑑別することができます。

ほとんどの副腎の腫瘍は、副腎皮質刺激ホルモン濃度が低くなっている反面、クッシング病や異所性副腎皮質刺激ホルモン症候群は副腎皮質ホルモンが一般的に高くなっています。

しかし、クッシング病の半分以上は、副腎皮質刺激ホルモンが正常範囲に収まっていることが多く、診断には注意が必要です。

また、副腎皮質ホルモンが上昇している場合、クッシング病や異所性副腎皮質刺激ホルモン症候群以外にも、視床下部の疾患や異所性副腎質刺激ホルモン放出ホルモン症候群なども鑑別疾患として挙げられます。

 

このいくつかの原因疾患を鑑別診断するために大容量のデキサメタゾン抑制検査が使用されます。

これはデキサメタゾン2mg6時間間隔で二日間投与してコルチゾールの分泌反応を見る検査方法で尿のコルチゾールが90%以上抑制され、そして血中コルチゾールが5μg/dL以下まで抑えられた場合、正常反応として認められます。

よって、クッシング病では、この検査で正常反応を示すのに対し、副腎の結節性過形成や異所性副腎質刺激ホルモン放出ホルモン症候群などでは異常反応を示すため、鑑別診断として役立てることができます。

 

副腎腺腫は他の副腎皮質ホルモン濃度は低いのにも関わらず、尿のコルチゾールが過剰に上昇している場合に疑うことができます。

副腎癌は、尿の17-ケトステロイドと血液のデヒドロエピアンドロステロン(DHEAs:男性ホルモンの一種)が著しく上昇します。

副腎癌により副腎アンドロゲンが上昇すると女性では男性化と非機能性子宮出血の症状を引き起こし、男性は女性ホルモンであるエストロゲンが分泌されるため女性化乳房を引き起こすことがあります。

20%の副腎癌は非機能性で内分泌症候群とは関連がない場合もあります

 

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クッシング症候群の鑑別診断

 仮性クッシング症候群

仮性クッシング症候群は、肥満、慢性アルコール中毒、うつ病、急性疾患などを患っている人に現れることがあります。

クッシング症候群の中心性肥満とは異なり、全体的な肥満が観察され、尿中のステロイドの濃度は正常あるいはわずかに上昇しており、血液や尿のステロイドの日中変動は正常であることが多いです。

アルコール依存症とうつ病の場合、尿のコルチゾールが若干上昇していることが多く、日中の変動も鈍くなっているため、一晩のデキサメタゾン抑制検査でも抑制がうまく働かないです。

しかし、アルコールを中断し、感情の状態が落ち着けば、ステロイド検査は正常まで回復されます。

 

外因性クッシング症候群

外因性クッシング症候群は、外部からの投与したステロイドによって発症するもので、内因性クッシング症候群と臨床像が非常に似ていて、区別することは非常に困難です。

様々な病気の治療のために長期間ステロイドを服用した場合、あるいはステロイドの乱用によってしばしば発症することがあるため、薬の服用には注意を払わないといけないです。

 

外部から投与されたステロイドにより下垂体副腎軸が抑制されるため、尿や血液検査でコルチゾールが減少しており、内因性クッシング症候群との鑑別が可能です。

外因性クッシング症候群の重症度は、ステロイドの総投与量、服用中のステロイドの半減期、ステロイド治療の期間などに深く関連しています。ステロイドを朝のみ投与した患者に比べて、午後や夕方に投与した患者の方がクッシング症候群を発症しやすいです。

 

映像医学的な診断

副腎の映像医学的な診断にコンピュータ断層撮影(CT)があります。

コンピュータ断層撮影は、副腎の腫瘍と副腎の過形成を診断するのに有用です。

下垂体から副腎皮質刺激ホルモンの分泌が増加したと判断された場合には、下垂体の磁気共鳴画像(MRI)を実施する必要があります。

しかし、磁気共鳴映像(MRI)でも下垂体の微細腺腫は60%以下の確率でしか観察されない、非常に発見の難しい病気です。

 

映像医学的な検査で陰性の場合には、選択的静脈同サンプリング(selective petrosal sinus venous sampling)を実施して副腎皮質刺激ホルモンの濃度を測定することができます。

選択的静脈同サンプリングは、下垂体腺腫と異所性副腎皮質刺激ホルモン症候群を鑑別するのに最も良い検査です。

異所性副腎皮質刺激ホルモン症候群は原因となる病巣を見つけることが重要なので、最も頻度が高い部位である胸部のコンピュータ断層撮影を最初に行うことが多いです。

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クッシング症候群の治療

クッシング病

経蝶形骨洞手術による微細腺腫の切除により80%の成功率で治療が可能です。

しかし、最初の手術で腺腫を完全に除去できず、巨大腺腫として再発した場合は治療成績が良くない場合があります。

手術後のコルチゾール濃度が正常値に戻っていることが確認できれば、基本的には治療は成功なのですが、再発の可能性を完全に排除することはできません。

もし再発した場合には、すみやかに再手術をしたり、他の治療法を検討したりする必要があります。

 

下垂体の放射線治療は、患者が手術をすることができない場合、または再発した場合にコルチゾールを正常値に戻すことができる良い方法です。

しかし、放射線治療の欠点としては、治療の十分な効果が現れるまでに時間がかかり、下垂体の機能不全が発生する可能性があるということです。

最近では、放射線治療の代わりにガンマナイフを用いた治療も実施されています。

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コルチゾールの過剰分泌を早い段階で正常化するために副腎の切除が行われることもあります。

副腎の切除は両方の副腎を削除することで、手術後には一生にわたってステロイドホルモンの補充が必要となります。

下垂体機能不全が発生せず、生殖機能を維持することができるので、場合によっては、副腎摘出術を施行することもできます。

 

異所性副腎皮質刺激ホルモン症候群

異所性副腎皮質刺激ホルモン症候群の患者は、腫瘍が除去され、転移がない場合、完治することができます。

そうでない場合には、副腎摘出術や薬物治療が次の選択肢です。

薬物治療の費用に負担や薬物の毒性または副作用のため治療が困難な場合には、副腎の切除が適切な治療法となります。

 

副腎腺腫

副腎腺腫は腹腔鏡を用いて除去することができます。

腹腔鏡手術は、開腹手術より出血がすくなくてすむので患者に負担がかからないのが特徴です。

しかし、腹腔鏡が施行されにくい場所にある場合は、やむを得ず開腹手術で副腎腺腫を除去することがあります。

反対側の副腎が萎縮された場合は、手術の前後にステロイド補充が必要となります。

 

副腎癌

主に肝臓や肺に転移が多いため、外科的な治療を行ったのにもかかわらず、ほとんどは診断後3年以上生存することが困難なのが実情です

副腎皮質を選択的に壊死させる薬物ミトタン(mitotane)がありますが、これはコルチゾールの合成を抑制し、血液と尿のステロイドを下げる働きがあります。

薬物投与に急激なステロイドの減少が現れることがあるので、ステロイドの補充を実施しながら、薬物を投与することができます。

しかし、薬物療法は、ステロイドの過剰を抑制させることはできますが、患者の長期生存率には大きな影響を与えてくれないです

骨に転移がある場合には、薬物だけでは治療効果がないため、局所的な放射線治療が必要となります。

 

結節性過形成

副腎が過形成している患者は、一般的に副腎皮質刺激ホルモンが増加しています。

したがって、副腎皮質刺激ホルモンを減らすことを目的に治療を行います。

副腎皮質刺激ホルモンの過剰分泌の起源を見つけるために下垂体の経蝶形骨洞手術が行われることがありますが、ほとんどの場合、選択的静脈同サンプリングが行われています。

微細腺腫が発見されていない場合には、下垂体または副腎の切除も治療方法になることがあります。

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ライター紹介 ライター一覧

松延健一 筑波大学医学群医学類

松延健一 筑波大学医学群医学類

私立大理工学部卒業後、筑波大学医学部医学科に編入、現在2年生
海外で暮らした経験があるおかげで、英語(Toeic900点以上)そして韓国語を話すことができます。
英語の重要性を改めて感じた今は、Toeflの勉強中で、英語をもっと上手になりたいと思っています。
将来は日本のみならず、海外でも活躍できるような医師になれればなと思います。

趣味はポップ音楽の鑑賞と映画鑑賞(特にサスペンス・スリル系)、たまにバドミントンをしてストレスの解消をしています。

<ライターからのご挨拶>
小学生頃、パーキンソン病を患っていた祖父は11年間車いす生活を送っていて、なぜ家族皆歩けるのに祖父だけが自由に歩けないのかを疑問に思っていました。
それがきっかけでパーキンソン病に限らず、様々な病気のこと、そしてその学問である医学に関心を持つようになり、医師への道を進むことになりました。
そもそもパーキンソン病とはドーパミンという脳内の神経伝達物質を分泌する神経細胞が減少することにより、手足が震えたり、筋肉がこわばったり、歩きづらくなる中高年に発症しやすい病気です。
パーキンソン病の根本的な治療法はまだ見つかっていないため、L-Dopaなどの薬物療法に頼っているのが現状だと思います。
WHO(世界保健機構)によると、日本の医療の質は世界でもトップクラスだと言われています。
しかし、死亡原因の1位であるがんを例にとっても、医療の質が改善したのは早期発見や医療技術によるものであり、根本的な治療法が開発されたからではないのも現状です。
伝染力が極めて強く、多くの人の命を奪った天然痘が、ワクチンが開発されることにより今日根絶されているように、今難病とされている病気も医学の研究者および色々な人々の日進月歩の努力により、根本的な治療法が見つかると思っています。
例えば、iPS細胞を使って分化させたドーパミン神経細胞の移植や、CRISPRなどを使ったゲノムの編集による遺伝子治療など、まだまだ研究段階にあり、すぐには臨床の場で応用されることは難しいと思いますが、いつかはその研究結果が患者さんに直接に役立てることを信じています。
また、自分もそのようなことに貢献できるような人になりたいと思っています。
最後に、こういう志をもって医学を勉強していく中で、正しくわかりやすい医学の内容を書いていけたらなと思います。

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